近年では日本全体で観光立国が推進され、各都道府県においても訪日外国人旅行者の増加を捉えた地域の活性化に向けて、それぞれ取り組みが進められています。そのような中、政府は「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策」を取りまとめ、日本を訪れる旅行者に医療が必要となる場合に備え、安心して医療を受けられる環境の整備に取り組んでいます。それと同時に、増加する在留外国人についても、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」が取りまとめられ、すべての居住圏において外国人患者が安心して受診できる体制の整備が進められています。
医療機関において外国人患者を受け入れる際、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が欠かせません。言葉の壁を持つ人々が安心して医療機関を利用し、適切な医療サービスを受けるためには、多言語に対応した健診システムの導入が必要です。
本記事では、外国人向けの多言語健診システムの重要性と導入メリット、課題について触れながら、DXの促進による医療アクセスの向上について考えていきます。また、外国人向けの健康診断におすすめの予約システムRESERVAについても解説します。
多言語健診システムの重要性
増加する外国人労働者・居住者
厚生労働省によると、2024年10月末時点の外国人労働者数は2,302,587人であり、前年から253,912人増加しています。「外国人雇用状況」の届出が義務化された2007年以降、過去最多を更新し、対前年増加率は12.4%となっています。外国人が日本で長期的に安心して暮らしていけるよう、年齢や性別、国籍など、さまざまな違いのある人々が対等な立場で相互に尊重しあい、多様な形で参加・貢献できる共生社会の実現が求められています。そのためにも、増加する外国人労働者・居住者へ適切な医療を提供できる、多言語対応の健診システムの導入が重要となります。
言語の違いが生む診断ミス
外国人患者が医師の説明を理解できない場合、誤解や診断ミスが発生するリスクが高まります。特に、緊急医療の場面では即時対応が求められるため、言語の問題は致命的になり得ます。患者が母国語で症状を説明できないと、医療機関は正確な診断が困難になり、スタッフが外国語で正確に問診できない場合には、治療が適切に進まないことが考えられます。多言語に対応した健診システムがあれば、誤った理解や判断が起こりにくくなります。
医療アクセスの確保
日本に在住する外国人の中には、社会経済的理由や受診抑制から、心身の不調があっても医療機関にかかることが難しい人々も存在しています。在留資格の有無により日本の公的医療制度を利用できなかったり、施設への収容期間中、物理的な行動制約によって受診が制限されたりする場合があります。外国人の医療アクセス確保のためには、医療保険や無料低額診療制度、在住外国人コミュニティや支援者とのネットワーク連携の強化が必要とされます。それらに加えて、多言語健診システムによる医療機関での言語支援は、外国人患者が適切な医療を受ける機会を増進します。

多言語健診システムを導入するメリット
健診受診率の向上と健康リスクの早期発見
日本に在住する外国人にとって、医療機関へ受診することはかんたんではありません。医療機関についての情報収集において、日本語での検索や電話予約はハードルが高く、適切な医療機関を見つけにくいのが現状です。多言語対応システムの導入によって母国語で健診を受けられることで、患者は安心して健康管理に取り組めます。また、言語の壁を取り除くことで、健康診断結果の理解やフォローアップが容易になり、病気や健康リスクの早期発見にもつながります。
医療機関の業務負担軽減とスムーズな対応
患者との間に言語の壁があると、診療時間の増加や医師・スタッフの負担増加につながり、結果的に診療の質を低下させてしまいます。臓器の名前や病気の症状など、専門的な医療用語は日常生活で使わないため、外国人患者にとって理解が困難です。複数の言語に対応している健診システムがあれば、患者と医療スタッフのコミュニケーションがスムーズになり、双方にとって「伝わらない」というストレスからの解放を実現します。
医療環境の整備による信頼性向上
多言語健診システムの導入によって、外国人患者が安心して来院できるだけでなく、医療アクセシビリティの高い機関として、信頼性の向上にもつながります。また、患者と医師・スタッフが意思疎通を図りやすくなることで、誤診や医療ミスが軽減され、患者満足度が高まります。患者自身が病状を理解し、治療に対して積極的に参加できるため、治療効果の促進や症状の好転も期待できます。

多言語健診システム導入における課題
多言語対応のコストと技術的ハードル
多言語健診システムの導入には、初期費用が必要となります。はじめから多言語機能が搭載されているシステムもあれば、多言語・翻訳機能が別料金でのオプション扱いとなるシステムもあるため注意が必要です。その場合には、初期費用だけでなく、毎年・毎月などの定期的な支払いが発生します。システム導入後は、医療機関にあわせた設定をおこなう必要があるため、金銭面だけでなく時間的なコストもかかります。また、カルテなどのデジタル化が進んでいる医療機関であればスタッフの運用にも不安は少なく済みますが、紙媒体でのデータ管理を主としている医療機関では、システムの設定作業や操作方法に慣れる必要があり、多言語健診のシステム運用に関する研修にも時間を要します。
医療専門用語の正確な翻訳と文化的配慮
医療用語の誤訳は重大なトラブルを引き起こす可能性があるため、精度の高い翻訳が求められます。外国人患者を相手とする健診には、症状や治療方針に関する認識の違いにより、言葉が通じていても意図が伝わらないケースも多く、文化や習慣などの背景を理解した上でのコミュニケーションが必須です。多言語健診システムを運用する医療機関には、文化的な違いを理解し尊重する姿勢が求められます。

データ管理とプライバシー保護
多言語健診システムを導入する際には、医療機関におけるデータ管理について考慮しなければなりません。ほかのシステムと併用できるものもありますが、システム間でのデータの互換性や、健康診断の結果を提出する際の出力形式など、医療機関の運営や実施する健診の内容にあわせたシステムを選択する必要があります。また、外国人患者のプライバシー保護の観点からも、セキュリティ対策が万全のシステムを選ぶことが重要です。医療通訳の倫理を学んでいない人が健診の付き添いとして来院する場合には、患者のプライバシーが守られないことがあります。そのことも視野に入れ、医療機関は患者の個人情報を守るための方法を、より緻密に考えておく必要があります。
多言語対応が可能な予約システムRESERVA

外国人向けの健康診断を実施するにあたって手軽に始められるのが、多言語に対応した予約システムの導入です。予約システムの機能は予約管理にとどまらず、予約者情報の管理と蓄積、スタッフやリソースの調整に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、クリニックや医療機関の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、利用者にとってもわかりやすく使いやすい環境が提供されます。
現在は多数の予約システムが存在しますが、外国人患者向けの効率的な病院運営を実現するためには、実際に導入事例もあるRESERVAがおすすめです。RESERVAは、30万社が利用、700以上の医療機関が導入したという実績がある国内トップシェアクラスの予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる病院やクリニックにもおすすめです。

RESERVAのおすすめ機能
RESERVAには、外国人向けの健康診断予約に役立つ機能が豊富に揃っています。
多言語機能
日本語、英語、中国語(簡体)、中国語(繁体)、韓国語、タイ語の6か国語に対応しており、予約サイトの「営業時間」「お問い合わせ」などの固定文言や「予約する」などのボタンについて、自動で外国語表示に切り替えられます。クリニックの情報など、固定文言以外の予約サイトによって変化する情報に関しては手動で設定できます。日本語がわからない人向けの予約サイトを作成できるため、外国人患者からの予約受付が可能になり、外国語対応のスタッフが不足している医療機関でも安心です。
残席数表示機能について くわしくはこちら:多言語設定で海外客の予約受付に対応!【RESERVA機能紹介】
残席数表示機能
残席数表示機能とは、予約の空き状況をわかりやすくアイコンや残席数で表示する機能です。予約枠が空いている場合は○、満席の場合は✕で表し、残席数が一定以下になった際には△を表示して、残りの空き枠が少ないことを伝えます。また、残席数が少ないときのみ数字で表示も可能です。これにより、予約の可・不可だけでなく空き状況が一目で確認でき、健康診断の空き枠に関する問い合わせ対応の手間軽減や予約促進効果も期待できます。
残席数表示機能について くわしくはこちら:残席数表示機能で予約申込を促進しよう!【RESERVA機能紹介】
予約時のアンケートカスタマイズ機能
予約時に事前アンケートを設置することで、予約者の傾向や要望を把握し、きめ細かなサービス提供が可能になります。アンケートはラジオボタンや自由記述など、多様な形式でカスタマイズできます。健康診断の問診表としても活用できるため、当日記入する手間を省くことも可能です。さらに、回答はデータで管理され、スタッフ間での情報共有もかんたんです。生活の意識調査と健康診断の結果を比較して、後の健康診断の指標を作ることにも寄与します。
予約時アンケート機能について くわしくはこちら:予約サイトの閲覧を限定できる!閲覧制限機能(パスワード機能)【RESERVA機能紹介】
サービス型オプション機能
サービス型オプション機能は、オプション機能の1種で、オプションごとに所要時間や金額を柔軟に設定できる便利な機能です。例えば、健康診断の予約において、追加の検査項目を希望する場合でも、メニューをあらかじめ分ける必要がなく、オプション選択ごとに必要な時間や料金が自動的に加算されます。この機能により、所要時間や料金が一目で確認でき、運営効率が向上します。さらに、追加オプションの内容や時間は管理画面で事前に把握できるため、検査に必要な備品やスタッフの準備が容易になり、スムーズな対応が可能になります。
サービス型オプションについて くわしくはこちら:オプションメニューに所要時間を設定し、予約枠に自動で反映させよう!【RESERVA機能紹介】
閲覧・予約制限機能
限定した人だけに予約サイトの閲覧を許可する機能です。社内の健康診断の場合、合言葉を設定し、社内で共有することによって、社外の人から予約が入るのを防げます。メニューごとにパスワードをかけられるため、事業所ごとに予約サイトを作成せず、ひとつの予約サイトで全社員の健診管理が可能です。
閲覧・予約制限機能について くわしくはこちら:予約サイトの閲覧を限定できる!閲覧制限機能(パスワード機能)【RESERVA機能紹介】
まとめ
今回は、外国人向けの多言語健診システムの重要性や導入メリット、課題、おすすめの予約システムRESERVAについて紹介しました。多言語に対応した健診システムは、外国人患者へ適切な医療を提供するための重要なツールです。医療情報の正確な伝達による誤診・医療事故のリスク低減、診療時間の短縮による業務効率化、さらに、患者との信頼関係構築による患者満足度の向上を実現します。多言語健診システムの導入は、日本に来訪・在住するすべての人へ平等に医療サービスを届ける一助となりながら、医療DXの促進にもつながります。DXを推進するにあたって課題を抱えている病院関係者は、ぜひ本記事を参考にしてください。
RESERVA mdでは、今後も医療DXに関する情報をお届けします。