CDSS(臨床意思決定支援システム)とは?
CDSS(臨床意思決定支援システム)の定義
CDSS(臨床意思決定支援システム)は、Clinical Decision Support Systemの略称です。民間病院グループ最大規模の徳州会グループでは、CDSSを「医療者が個々の患者さんに対し何らかの意思決定を行う際、役立つ情報を迅速に提供できるようデザインしたコンピューターシステム」と説明しています(引用:徳洲会グループ「ビッグデータやAIを積極活用 臨床意思決定支援システム」開発へ 徳洲会グループが委員会立ち上げ本格化」)。
臨床ビッグデータやAIを活用することで、医療者の知識の経験や偏りを補い、根拠に基づいた情報が迅速に提示されるため、より安全で質の高い医療を提供することができます。数多くの患者医療データに基づく医療処置方法が即座に提供されるため、医療の効率性や経済性の向上、労働負担の軽減に繋がります。
医療現場にCDSSを導入するメリット
CDSSを医療現場に導入するメリットとして次のようなものがあります。

- 各患者に適した意思決定
医療現場では日々新しい情報やガイドラインが発表されており、その情報をいち早く把握しておくことは必要不可欠です。CDSSは、最新の研究・医療結果をリアルタイムで提供し、数多くの信頼性のある情報と、患者の特定の病歴や症状に基づいて個別化された医療方法を提供します。患者の状況やニーズを考慮した情報を入手することができるため、患者一人ひとりに沿った適切なケアを提供することが可能になります。
- 医療レベルの底上げ
厚生労働省は、2025年に医師・研修医の都市部集中を課題として挙げました。都市部には医療技術の向上や専門的な研修プログラムが充実しているため、それらを求める医療従事者が多く、その結果、地方の病院の医師不足が深刻化しています。この専門医・医師の都市部集中により、地域ごとで医療レベルに差が生まれることが懸念されます。しかし、CDSSの導入をすることで、地域の一般医が専門医レベルの診断支援を受けることが可能になります。国内に限らず、世界各国の医療データをもとに患者に適した医療方法をどの地域にいても把握することができるようになります。
- 医療コストの削減
CDSSは医療従事者に対して、診断ガイドラインやエビデンスに基づいた治療法を提示するため、不必要な検査や診察を減らし、医療コストを削減することが可能です。また、適切な対処により患者の状態の把握がかんたんになり、患者の再入院を減らすことも期待できます。
- 燃え尽き症候群の予防
燃え尽き症候群とは、仕事や生活に対して突然意欲を失い、心身の疲労を強く感じる状態のことで、福祉従事者や教師などの対人サービスを行う人々に発症しやすいものです。医療従事者は膨大な情報の処理に加えて、迅速な意思決定を求められるため、ストレスが溜まりやすい環境で日々働いています。医療業界でも医療従事者不足は懸念されている点であり、燃え尽き症候群は対処すべき問題です。しかし、CDSSを導入することで情報整理や迅速な医療判断をAIが行ってくれるため、医療従事者の負担を軽減することができるようになります。
医療分野での事例

マルチモーダルAI
2023年に日本電気株式会社、理化学研究所、日本医科大学は、複数の大学病院と共同で、医療分野における電子カルテとAI技術の融合研究を進め、医療ビッグデータを多角的に解析するマルチモーダルAIを構築しました。前立腺がんを対象とした実験で、手術前の電子カルテデータや病理生検画像などを用いたマルチモーダルAI解析を実施したところ、手術後5年の再発予測精度が既存手法よりも約10%向上しました。
参考:NEC「NEC 、理化学研究所、日本医科大学、電子カルテとAI技術を融合し医療ビッグデータを多角的に解析」
ユビーAI問診
「ユビー」は、日本のAI問診サービスであり、情報端末から自身の症状を選択すると、考えられる病名や緊急度などをAIが提示してくれる症状検索エンジンです。一般の人でもブラウザから無料で利用することができますが、ユビーを問診票代わりに活用している病院も複数あります。査読された5万件以上の医学論文を取り込み、1,100以上の病名に対応したデータベースを構築しています。ユビーを導入することで、AIの具体的な問診内容をもとに診察を行うことが可能になり、診察までの時間短縮や、問診業務の負担軽減を実現させます。
参考:ユビーメディカルナビ「診療の質を向上するユビーメディカルナビ」
医療DXにはRESERVA

医療機関がDXを推進するにあたって、おすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、来院や面会の予約管理にとどまらず、決済から顧客管理、さらにスタッフやリソースの調整に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、来院者にとってもわかりやすく使いやすい環境が提供されます。
現在多数の予約システムがありますが、医療機関が効率的にDXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAをおすすめします。RESERVAは、30万社が導入、700以上の医療機関も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる病院、クリニックにもおすすめです。
まとめ
本記事では、「CDSS(臨床意思決定支援システム)」の用語解説と、その領域における医療分野の事例を紹介しました。
RESERVA mdでは、今後も医療DXに関する知見や事例を取り上げていきます。