BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)とは
BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)は、脳とコンピューターを直接つなげる技術を指します。株式会社医学書院によると、「BCIとは,脳と機械を直接つなぎ,脳情報の読み取りや書き込みを通じて脳機能を補填・増進させる技術の総称である」と説明しています。(引用:株式会社医学書院公式サイト「医学界新聞『医療応用の実現に向け産学で加速するBCI研究』」)
これにより、脳が発する信号をコンピューターで解釈し、外部デバイスやシステムを制御することが可能になります。言葉や動作を必要とせず、「考えるだけ」でロボットやデバイスを操作できることが特徴です。
BCIの仕組みは、大きく分けて3つのステップで構成されます。まず、脳の活動によって生じる電気信号(脳波)をセンサーで検出します。次に、AIや機械学習を使って信号を解析し、特定の動作指令に変換します。最後に、この指令を基にデバイスやシステムを制御します。
侵襲タイプと非侵襲タイプ
BCIは、脳の情報を読み取る方法によって、侵襲タイプと非侵襲タイプの2つに分けられます。
①侵襲タイプは、脳信号を読み取るために手術を必要とするタイプです。微小な電極を脳に直接刺す方法や皿のような電極を脳の表面に置く方法を取ることで、脳の信号を直接、高精度で取得することが可能になります。近年、AIや医療機器が進化したことで、より正確に脳の活動を読み取れるようになり、義手の操作や障害を持つ人のサポートに応用されています。
②非侵襲タイプは、手術を必要としません。主に頭に電極を取り付けるだけで、脳信号を読み取ります。例えば、帽子のような装置をかぶり、頭皮を通して脳波を測定する方法が挙げられます。この方法は体に負担が少なく、健康な人でもかんたんに試せるため、ゲーム操作などの日常生活にも活用されています。ただし、脳から離れた場所で信号を測るため、侵襲型に比べて信号の精度はやや低いことが課題です。
医療現場にBCIを導入するメリット
BCIを医療現場に導入するメリットして次のようなものがあります。
・身体機能の回復支援
侵襲型BCIでは、脳信号を直接読み取り、ロボット義肢や電動車椅子を操作することが可能になります。事故や病気によって手足を動かせなくなった患者が、思考だけで義肢を制御できるようになり、日常生活を再び送れる可能性が広がります。また、脳卒中や脊髄損傷による機能障害のリハビリにもBCIが活用されています。リハビリ中の脳活動をリアルタイムで確認することで、効果的なトレーニングが可能になり、回復を加速させることが期待されています。
・コミュニケーション支援
ALS(筋萎縮性側索硬化症)など、身体の運動機能が失われても意識が保たれる患者の場合、非侵襲タイプのBCIを使用して文字入力や意思表示を行えます。これにより、患者の心理的な負担を軽減し、医療従事者や家族とのより良いコミュニケーションが実現します。
・早期診断の実現
BCIは、脳波や神経信号をリアルタイムで解析し、神経疾患の早期診断を可能にします。てんかんやパーキンソン病などの疾患は、症状が進行する前に治療を開始することで、その影響を大幅に軽減できる場合があります。BCIは、患者の脳活動の異常を検知し、早期の警告を発することが可能です。AI技術と組み合わせることで、信号解析の精度が向上し、医師がより迅速かつ的確な診断を下すためのサポートを提供します。
・患者の自立性向上
BCIは、思考によるデバイス操作を可能にすることで、患者の自立性を大幅に向上させます。侵襲型BCIを用いることで、手足を動かせない患者が自分の意思でロボット義肢を動かし、食事や身の回りの世話を自分で行えるようになります。さらに、非侵襲型BCIでは、電動車椅子やスマート家電を脳波で操作することで、患者が外部の助けを借りずに生活を送ることが可能です。これにより、患者が日常生活での自由を取り戻し、社会復帰に寄与できます。
医療分野での研究事例
ここでは医療分野におけるBCIの研究事例を2つ紹介します。
大阪大学
大阪大学の研究では、感覚運動野の脳表面に電極を設置し、AI技術を活用して、身体が動かせない患者が想像した動きを読み取り、ロボットを操作することに成功しています。さらに、視覚情報の意味を脳波から解読し、同じ意味の画像をリアルタイムで提示する技術も開発されています。これらの技術は、重度の運動障害患者の運動機能や意思伝達能力の回復に寄与することが期待されています。
京都大学
京都大学と産業技術総合研究所の共同研究グループは、BCIの操作が得意な人と苦手な人では脳の神経回路の使い方が異なることを発見しました。脳に電極を埋め込まない非侵襲タイプでは、BCIの操作能力には個人差が大きく、上手く使えない人も多いのが現状です。BCI操作が得意な人では「大脳基底核」が運動野と強く機能的に繋がっているのに対し、苦手な人では「大脳基底核」が運動野以外の認知や情動に関わる領域とも複雑に繋がっていることがわかりました。この差が、BCI操作の得手不得手に影響していると考えられます。この研究により、将来、脳回路の使い方に合わせた訓練法の開発など、個人の特性に合わせたテーラーメイドBCI技術開発への応用が期待できます。
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まとめ
本記事では、「BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)」の用語解説と、その領域における医療分野の事例を紹介しました。
RESERVA mdでは、今後も医療DXに関する知見や事例を取り上げていきます。