クリニック開業を成功に導く医療DX|業務を支援する予約システム

クリニックとは、主に初期診療や軽度な症状の治療によって、地域住民の健康を支える「かかりつけ医」としての機能を担う重要な医療機関です。公益社団法人日本医師会が2009年に公表した「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」によると、クリニックの新規開業における開業動機の1位は「自らの理想の医療を追求するため」という結果となっており、このような想いを持ってクリニック開業に乗り出す医師が多い一方で、開業したものの「資金繰りが厳しい」「思うように患者が集まらない」など、失敗につながるケースは少なくありません。

そこで、クリニック開業を成功させる手段として注目されているのが医療DXです。本記事では、クリニック開業の手順や医療DXの定義・メリットから実際の成功事例まで紹介します。

クリニック開業における一連の流れ

クリニックの開業にはさまざまな手続きや準備が必要であるため、あらかじめ開業の流れを把握してから綿密な計画を立てることが、スムーズな開業の実現において重要です。以下では、開業までの流れを大きく5つに分けて解説します。

経営理念・診療方針の決定および事業計画の策定

クリニック開業にあたってはじめに取り組むべきことは、経営理念や診療方針の策定です。これらは、クリニックの開業準備に必要なだけでなく、開業後の経営土台にもなるため、時間をかけて慎重に考える必要があります。

事業計画においては、クリニックの開業に必要な資金をどのように調達するか、開業後にはどのくらいの利益が見込めるかなどの計画を策定します。しかし、あいまいな事業計画では、開業後の資金繰りや資金調達に苦労し、経営が悪化する恐れもあるため、現実性があり無理のない計画を策定することが大切です。

物件の選定および資金調達

土地および物件の選定は、クリニック経営の成功を大きく左右します。そのため、患者の通院のしやすさや地域の人口構成、競合クリニックの有無などを把握し、慎重に選定することが重要です。また、物件は事業規模に見合った家賃であるか、その家賃に見合った来院数は見込めるのかなども合わせて考慮する必要があります。

クリニックの開業には、物件の契約や内装工事費、医療機器・備品への初期投資など、多大な費用が必要です。これらの費用は自己資金だけでは補えない場合が多く、助成金や金融機関の融資などを活用して資金調達を行う必要があります。審査の都合上、申し込み後すぐに融資が受けられるとは限らないため、開業後の運転資金確保も視野に入れ、余裕をもった資金調達が必要になります。

内装工事および医療機器の選定

次に、経営理念や診療方針をもとに内装工事を行います。内装工事には、設計費や材料費、設備工事費など、多くの費用が必要です。また、内装デザインはクリニックの雰囲気に大きく関わる重要な要素のため、対象となる患者の好みや使いやすさを考慮した上で決めることが大切です。

医療機器は、X線やエコー、内視鏡など、クリニックのコンセプトや方針を実現できる機器を選ぶことが求められます。事業計画と照らし合わせ、現実的なグレードの医療機器を選定することが、無理のない開業につながります。

税理士・公認会計士・社労士の選定およびスタッフの採用・研修

クリニックの運営によって得た利益は事業所得となるため、納税の義務が発生します。そのため、必ず確定申告を行い、税金を納める必要があります。税理士や公認会計士といった専門家のサポートを受けることで、正しく納税することが可能です。

また、クリニックの開業においては、受付業務や診療を担うスタッフが不可欠です。必要な人材の条件を明確にし、募集および採用面接を行います。さらに、経営理念や診察方針の共有、システムの操作方法のレクチャーなど、スタッフの研修を実施することで開業に備えます。

ホームページ作成および必要書類の準備・届出

開業当初はクリニックの認知度が低いため、集患に苦戦することが少なくありません。そこで、ホームページを作成することにより、クリニックの認知度向上と来院数増加を図ることが可能です。ホームページの作成は重要な集患方法のひとつであり、専門の業者に高品質なものを制作してもらうことは有効と言えます。

また、クリニックを開業する際には、保健所に「診療所開設届」の提出が必須です。加えて、開業地域を管轄する厚生局には、保険医療を実施するための「保険医療機関指定申請書」を提出する必要があります。その他にも、診療科目や使用する医療機器に必要な届出が数多くあるため、届け漏れのないよう、事前に各機関に確認した上で準備を進めることが重要です。

医療DXとは

厚生労働省によると、医療DXとは「保健・医療・介護の各段階において発生する情報やデータを、全体最適された基盤(クラウドなど)を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」と定義されています。

つまり医療DXは、ITツールを導入するといった単なるIT化ではなく、デジタル技術を活用して医療の質・効率・患者の快適性を改善する取り組み全体を指します。今後、より深刻化する超高齢化社会と、それにともなう人材不足に大きく影響を受けるであろう医療業界において、医療DXの促進は急務と言えます。

医療DXのメリットとは

業務の標準化と指導の質向上

従来は属人的だった受付・問診・会計業務が、システム化によりマニュアル化・自動化され、誰でも均一に対応できるようになります。また、マニュアルや指導の質の一定化により、新人スタッフが短期間で戦力になるといったように、人材育成のスピードアップにもつながります。

人為的ミス、トラブルの防止

多忙になりがちな医療現場では、電話での予約受付によるダブルブッキングや紙のカルテにおける読み間違いや転記ミスなど、アナログ対応による人為的ミスの発生が少なくありません。しかし、予約システムや電子カルテのようなデジタルツールを導入することにより、業務が自動化・効率化されるため、ミスが起きにくい環境に改善することが可能です。

経営判断における速度および精度の向上

DX化により、クリニック診療単価や患者ごとの来院回数、月別患者数などがダッシュボード上で明確に可視化できるようになります。これにより、院長がデータに基づいて経営判断を下せるようになります。その結果、クリニックの収支分析や施策の効果検証が即時に可能となるため、PDCAを高速で回すことが実現できます。

医療DXの事例

Medicomクラウドカルテ|クラウド型電子カルテ

Medicomクラウドカルテとは、診療所シェアNo.1のクラウド型電子カルテです。Medicomクラウドカルテには3つの大きな特徴があります。ひとつ目は、圧倒的に使いやすいUIを採用していることです。これは膨大な導入実績によるユーザーの声を反映し、「診療を真にスピーディーにする」を合言葉として設計されています。2つ目は、算定可能な項目を抽出する独自のAI自動算定機能を搭載している点です。これにより、算定漏れを防ぐとともに、算定・会計の効率化を促進します。3つ目は、充実した医療DX対応とサポート体制です。サポート拠点数は業界トップクラスの157を誇り、オンライン資格確認や電子処方箋導入などの実績をもとに、医療DXを適切に支援します。

実際に、東京都八丈島で唯一の診療所である「田町三田こころみクリニック八丈島巡回診療所」がMedicomクラウドカルテを導入することにより、リモート接続ではなく、どこからでも電子カルテにアクセスできる環境を実現しました。八丈島といった地理的制約がある中でも、患者により質の高い医療サービスを提供できるようになった事例です。

WinActor|RPAツール

株式会社NTTデータが提供するRPAツール「WinActor」は、NTTグループの研究技術とノウハウが詰まった、業務効率を支援するソフトウェア型ロボットです。Windows上で操作可能なアプリケーションや個別システムを利用した業務をシナリオ(ワークフロー)として学習し、ユーザのPC業務を自動化します。また、WinActorの導入にはプログラミングの知識は不要であるため、ITに詳しくないスタッフでもかんたんに取り入れられます。このように、ロボットに定型処理を任せることによって、検査リスト作成といった医療業務だけでなく、勤怠情報の自動チェックや経理業務など、さまざまな業務を効率化できます。

ユビー|生成AI

ユビーとは、LLM(Large Language Model)の高い言語処理能力と、1800件以上の医療機関で培われた医療特化AIの強みを融合した生成AIです。業界をリードする最新技術が反映されており、大学病院も利用する堅牢なネットワークセキュリティを有しています。ユビーが文章作成や要約、校正といった業務負荷の高い事務作業の多くを担うことにより、スタッフの限られた時間を、経営戦略の策定や医療サービスの改善といった創造的な業務に充てることが可能になります。

さらに、スタッフのベストプラクティスを共有して業務内容を継続的に改善し、医療機関内での成功事例を可視化することで、組織全体のスキルアップと標準化を促進します。このように、業務効率を飛躍的に向上させることにより、医療現場の生産性向上に貢献します。

医療DXを始めるなら予約システムRESERVA

医療機関向け予約システムRESERVA公式サイト
画像引用元:RESERVA md公式サイト

医療DXを進めるにあたって、誰でも手軽に始められるのが予約システムの導入です。予約システムの機能は予約管理にとどまらず、予約者情報の管理と蓄積、スタッフやリソースの調整に至るまで自動化することが可能です。複数のツールやプラットフォームを切り替える必要がなくなるため、クリニックの業務プロセスをより効率化でき、患者にとっても直感的で使いやすい環境を提供できます。

数ある予約システムの中でも、効率的な医院運営を実現するためには、実績豊富なRESERVAの活用がおすすめです。RESERVAは累計35万社以上に導入され、すでに700以上の医療機関で利用されている国内トップクラスのシェアを誇ります。予約受付をはじめ、搭載されている機能は100種類以上に及び、診療科や規模を問わず幅広いニーズに対応可能です。

初期費用は無料で始められるうえ、サポート窓口の充実やヘルプ機能の利便性も高く、予約システムを初めて導入するクリニックでも安心です。無断キャンセルの防止、患者満足度の向上、スタッフの負担軽減といった効果を短期間で実感できるため、医療DXを推進する第一歩として導入する価値があります。

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まとめ

本記事では、クリニック開業までの流れや医療DXのメリット、実際に導入されている具体的な事例を紹介しました。医療DXを進めることにより、業務効率化やスタッフの負担軽減につながり、コストを抑えたクリニック運営の実現が可能です。DXを推進するにあたって課題を抱えているクリニック関係者は、ぜひ本記事を参考にしてください。

RESERVA mdでは、今後も医療DXに関する知見や事例を取り上げていきます。

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