医療DXの安全性とプライバシー|個人情報保護の重要性

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、医療分野にも新たな変革をもたらしています。この記事では、医療DXの推進にあたって注意すべき安全性について、電子カルテをもとに解説し、セキュリティを保証する一つのツールである予約システムを活用している全国の医療機関の事例を紹介します。

医療DXの推進とプライバシー保護

医療DXの定義と3本の柱

厚生労働省によると、医療DXとは、「保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤(クラウドなど)を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」と定義されています。

参考:厚生労働省「医療DXについて」

医療DXにおけるプライバシー保護の重要性

医療DXの推進にはプライバシー保護が重要です。医療データには患者の健康状態、病歴、遺伝情報などの極めて機密性の高い情報を含んでいます。これらの情報が不適切に扱われたり、漏洩したりすることは、患者のプライバシー侵害だけでなく、日常生活にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

医療機関においては、患者との信頼関係が診療の基盤となります。患者は自らのプライバシーが確実に守られているという確信がなければ、正直に健康状態を伝えづらくなり、結果として適切な診断や治療が困難になるリスクが高まります。プライバシー保護は、患者が安心して医療サービスを利用できるための前提条件です。

さらに、デジタル技術を活用することで医療データは容易に共有、管理されるようになりますが、サイバー攻撃や不正アクセスのリスクが常に存在し、個人情報の漏洩や改ざんが発生する可能性があります。このような事態を防ぐには、高度なセキュリティ対策が不可欠です。

医療DXの恩恵を最大限に享受するためには、技術の導入と並行して、プライバシー保護の取り組みを強化し、患者の権利を守ることが、持続可能な医療サービスの提供に直結するといえます。

電子カルテの現在地

医療DX化の実現に向け、日本では「医療DX令和ビジョン2030」を掲げ、「医療DXの推進に関する工程表」にもとづき、日本の医療分野の情報の在り方を根本から解決する取組みとして、以下の3つの柱を軸に取り組んでいます。

  1. 全国医療情報プラットフォームの創設
  2. 電子カルテ情報の標準化等
  3. 診療報酬改定DX

電子カルテの普及と現状

上記の3つの柱のひとつ「電子カルテ情報の標準化等」について、「医療DX令和ビジョン2030」では、電子カルテの普及率の目標値を2026年までに80%、2030年までに100%とすることが記載されています。しかし、厚生労働省が公開している調査によると、2020年の電子カルテの普及率は、一般病院が57.2%、一般診療所が49.9%となっており、まだ十分に普及しているとは言えない状況です。

電子カルテの導入により、患者情報の一元管理や迅速なアクセスが可能となり、医療サービスの効率が向上します。現在、厚生労働省の主導で標準化された電子カルテの開発を進め、医療機関の導入を促す補助金施策を行うという方針が示されています。

電子カルテの安全性

電子カルテの安全性については、暗号化技術やアクセス制御などのセキュリティ対策が施されていますが、完全に安全性が確保されているわけではありません。例えば、暗号化は外部からの不正アクセスを防ぐための重要な手段ですが、内部の脅威や人的ミスによる漏洩のリスクを考慮する必要があります。また、システムの脆弱性を突いたサイバー攻撃や、不正アクセスによるデータの不正利用も問題となります。したがって、電子カルテの安全性を高めるには、定期的なセキュリティチェックやアップデート、スタッフのセキュリティ意識向上が求められます。

個人情報保護法との関連

個人情報保護法にもとづき、医療機関は患者の個人情報を適切に管理する義務があります。この法律は、個人情報の収集、利用、保存、提供に関する規定を定めており、医療機関もこれに従う必要があります。電子カルテの利用においても、患者の同意を得た上で情報を収集し、利用目的を明確にすることが求められます。また、個人情報の適正管理を確保するため、情報漏洩や不正アクセスの防止策を講じる必要があります。法令遵守は、医療機関の信頼性を維持するために不可欠です。

患者情報の安全な管理方法

データ暗号化技術の活用

データ暗号化技術は患者情報を保護するための基本的な手段です。暗号化により、万が一情報が外部に漏洩しても内容が解読されるリスクを大幅に低減できます。電子カルテでは、データが保存される際や転送中に暗号化が施されることが一般的です。暗号化の強度や適用範囲は、システムのセキュリティ設計によって異なるため、最新の暗号技術を導入し、定期的に更新することが重要です。

アクセス権限管理の徹底

電子カルテに限らず、医療機関内での情報の利用は、その業務に必要な担当者に制限されなくてはなりません。例えば、医師や看護師、事務スタッフなど、職種や役職に応じてアクセス権限を設定し、管理する方法があります。また、定期的なアクセス権限の見直しや、退職者や異動者に対する迅速な権限変更も欠かさず行うことが必要です。

ログ監視と不正アクセスの防止

ログ監視は、システムの利用状況やアクセス履歴を記録し、不正アクセスや異常な行動を検出することに役立ちます。電子カルテのシステムでは、ユーザーのログイン履歴や操作履歴を監視し、異常なアクティビティが発見された場合には警告を発する機能が求められます。また、不正アクセスの防止には、二要素認証や強力なパスワードポリシーの導入が効果的です。これにより、システムへの不正なアクセスを防ぎ、情報の安全性を確保できます。

クラウド環境でのデータ保護

クラウド環境を利用した電子カルテの保存や共有は、利便性を高める一方でデータ保護の課題もともないます。クラウドサービスの選定に際しては、サービスプロバイダーのセキュリティ対策やデータ保護ポリシーを確認することが重要です。また、クラウドサービスの利用に関する契約には、データの取り扱いや保護に関する明確な規定が含まれているか確認するようにしましょう。

医療機関におけるセキュリティ対策

社内教育と意識向上の重要性

医療機関内でのセキュリティ対策は、スタッフの意識と知識に大きく依存します。セキュリティポリシーの説明や、具体的なセキュリティリスクに対する対応方法、情報漏洩の防止策など、定期的なセキュリティ教育や研修を実施することで、スタッフ全員が情報セキュリティの重要性を理解し、適切な対策を講じることができます。このような意識の向上は、組織全体のセキュリティ文化を築くために不可欠です。

セキュリティポリシーの策定と運用

セキュリティポリシーは、医療機関の情報セキュリティの基本方針を定める重要な文書となります。ポリシーには、情報の取り扱いや保護に関する具体的な規定、リスク管理の手法、インシデント発生時の対応手順などが含まれ、全スタッフに周知し、理解させることが求められます。また、定期的な見直しや更新を行い、最新のセキュリティ脅威に対応できるようにすることも重要です。

予約システムRESERVAで、患者情報を適切に管理

画像引用元:RESERVA.md公式サイト

患者情報やその他医療機関に必要な情報をオンライン上で適切に管理するのにおすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、来院や面会の予約管理にとどまらず、患者情報の管理、問診、スタッフやリソースの調整に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、来院者にとってもわかりやすく使いやすい環境が提供されます。

現在多数の予約システムがありますが、 医療機関が安全にDXを促進するためには、十分なセキュリティ対策が施されているRESERVAをおすすめします。RESERVAは、28万社が導入、700以上の医療機関も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる病院、クリニックにもおすすめです。

さらにRESERVAは、ISMS認証(ISO 27001)、ISMSクラウドセキュリティ認証(ISO 27017)を取得しており、不正アクセス対策やデータの保護・暗号化の実施もされているため、安全にデータを管理することができます。

RESERVAのセキュリティ対策についてはこちら

医療機関におけるRESERVA活用事例

あま市民病院

愛知県あま市にあるあま市民病院は、「子供から高齢者まで」「急病から生活習慣病まで」を理念に、地域包括ケアの拠点となるよう地域住民の生活を健康面から支える病院です。専門機関やかかりつけ医への橋渡しも行い、24時間365日で救急医療体制を整えています。

予約サイトは、各種健診や予防接種、がん検診など、メニューがカテゴリ別になっています。なかでも「乳がん検診」は予約承認制となっており、予約者が予約を入れてもすぐに予約が確定せず、いったん仮予約の状態になります。このように仮予約受付を設定すると、病院側が予約者情報を一度確認したうえで予約を承認するかを決められます。また、受診上の注意事項を太字や赤文字で強調することで、予約者の注意をひく工夫をしています。

参考サイト:あま市民病院公式サイト
予約ページ:https://reserva.be/amahosp

千駄ヶ谷インターナショナルクリニック

千駄ヶ谷インターナショナルクリニックでは、一般内科のほか、高山病予防や英文診断書作成など、旅行を安全で快適にする旅行外来(トラベルクリニック)を行っています。 院長の豊富な知識や臨床経験や、幅広い分野の専門家から得た情報を活かした診療を受けることができます。

診察の予約を進めていくと、「問診」という欄に、症状やアレルギーの有無、希望事項などをアンケート形式で回答できるようになっています。予約時のアンケートを問診代わりとすることで、当日記入する患者の手間が省け、スムーズに診察を受けられるようになります。加えて、当院のサイトは英語対応も可能なため、より多くの患者を受け入れることができるようになっています。

参考サイト:千駄ヶ谷インターナショナルクリニック公式サイト
予約ページ:https://reserva.be/sendagaya_reservation

岡部医院

画像引用元:岡部医院予約サイト

愛知県犬山市にある岡部医院は、地域に根ざした「かかりつけ医」として、高血圧、糖尿病、ケガの手当て、腰痛、膝の痛みなど幅広く診察しています。さらに、健康相談や漢方診療、医療と介護の連携による総合的なケアにも力を入れています。

画像引用元:岡部医院予約サイト

当院の予約サイトは、脱毛症外来と通常診療にカテゴリ設定されており、予約者は迷うことなく予約メニューを選択できます。そして希望時間帯を選択する際、予約の可否だけではなく、残席数が表示されます。残席数を表示させることで、予約の空き状況を一目で確認でき、予約状況の問い合わせにかかる負担軽減につながります。

参考サイト:岡部医院公式サイト
予約ページ:https://reserva.be/agaokabe

ヒラハタクリニック

東京都渋谷区にあるヒラハタクリニックは、「渋谷で働く方々の健康を守る」という目的で開設されたクリニックです。 受診者が求める「安心」を追求し、「自分が受けたい医療を提供する」ことをモットーに、医師、スタッフが一丸となって診療に取り組んでいます。

予約サイトでは、主に吸引導子を用いた電気治療と超音波治療を行う「物理療法」の予約ができます。「物理療法」の予約は、希望の時間帯がすでに埋まっている場合、キャンセル待ちを申し込むことができるようになっています。キャンセル待ちを設定すると、予約が埋まっている枠にキャンセルが生じた際に予約者に対して通知、予約の実施まで自動で行うことができるため、クリニック側と予約者側の双方にメリットがあります。また、当クリニックは事前カード決済を導入しているため、支払いにかかる手間も省けます。

参考サイト:ヒラハタクリニック公式サイト
予約ページ:https://reserva.be/hirahatacovidtest

SEASONS(シーズンズ) 神奈川リウマチクリニック

神奈川県横浜市にあるSEASONS神奈川リウマチクリニックは、整形外科医とリウマチ内科医による専門チーム医療によって、一人の患者を診察する体制をとるクリニックです。クリニックの豊富な治療経験を生かし、通常の治療では痛みがとれないケースなど、全国から寄せられるセカンドオピニオンの要望に応えています。

当クリニックの予約サイトは、リウマチに関する診察のほか、セカンドオピニオンのメニューも用意されています。また、英語での対応も可能です。予約枠をクリックすると30分単位で予約が設定されていることがわかり、予約者同士のバッティングを防ぐことができます。また、予約状況が〇×アイコンで表示されているため、希望時間帯の予約状況が一目でわかります。

参考サイト:SEASONS 神奈川リウマチクリニック公式サイト
予約ページ:https://reserva.be/seasons2

まとめ

本記事では、医療DXの推進に関わる安全性について解説し、患者情報を適切に管理できる予約システムを活用している全国の医療機関の事例を紹介しました。電子カルテをはじめ患者情報管理のデジタル化が進む一方で、個人情報保護がいっそう重要となっています。そのためセキュリティ対策を徹底し、患者の信頼を守りながら、安全な医療サービスを提供することが求められます。医療のDX化を検討している医療機関の関係者は、ぜひ本記事を参考にしてください。

RESERVA.mdでは、今後も医療DXに関する知見や事例を取り上げていきます。

矢印 Facebook X