医療用ロボティクスの革新|手術支援からリハビリテーションまでの応用事例

医療用ロボティクスとは、最先端のロボット工学を医療分野に応用した技術を指します。医療施設はこの技術を利用することで、手術、診断、治療、リハビリテーション、患者ケアといった各プロセスを効率化し、病院や研究所の機能を拡張することができます。

主要な医療用ロボティクスの分野には、手術の精度と安全性を高める手術支援ロボット、医療施設内の物流や消毒を自動化する自律移動ロボット、患者の身体機能を補助するリハビリ用ロボットなどがあります。これらのロボットは、手術や治療の精度を格段に向上させ、全体的な医療サービスの質を高めます。

本記事では、そのような医療用ロボットを活用することで得られる具体的なメリットと、実際に導入している病院の事例を詳しく解説します。

医療用ロボティクスとは

医療用ロボティクスは、医療におけるロボット工学の応用であり、手術、診断、治療、リハビリテーション、患者ケアなどの様々な医療プロセスを改善するために設計されたロボットの技術を指します。この技術は、病院・研究所や医療従事者の能力を拡張し、患者や実験の結果を最大化することを目指しています。

以下では、代表的な医療用ロボティクスの分野を解説します。

①手術支援ロボット

手術支援ロボットは、医療用ロボティクスの中でも特に重視される分野です。これらのロボットは手術の精度を高めるだけでなく、医師の体への負担を軽減し、疲労からくる操作ミスのリスクを減少させます。その結果、医師は複雑な手術に集中しやすくなり、患者の安全性と治療の質が向上します。

手術支援ロボットは、主に低侵襲手術と整形外科手術の二つの主要なカテゴリーに分類されます。

低侵襲手術(内視鏡下手術)

低侵襲手術(内視鏡下手術)用のロボットは、小さな切開手術でも精密な操作を可能にし、患者の体への負担を最小限に抑えます。それによって、手術後の患者の回復時間が大幅に短縮し、痛みや感染リスクも低減します。ロボットは外科医の動きを正確にトラッキングし、人間の手では到達しにくい体内の狭い部位にアクセスします。

整形外科手術

整形外科手術用のロボットは、外科医がより高い精度で骨を切ったり、正確な位置にインプラントを設置したりするのを助けます。これらのロボットは事前に予測した成果をもたらすため、手術の精度が非常に高くなります。

②自律移動ロボット(AMR)

自律移動ロボット(AMR)は、様々な医療サービスの効率化に貢献します。これらのロボットは、自動で病院や研究所内を移動し、消毒作業や遠隔操作、医療物資の配送といった重要な業務を行います。

また、AMRは病院や研究所の日常業務をサポートします。具体的には、患者の部屋の清掃や医療用品の補充といった業務を担当し、従来は医療従事者が手作業で行っていた負担を軽減します。これにより、彼らは緊急性の高いケアや他の重要な業務に集中可能です。

さらに、AMRはソーシャルロボットとしての活用も進んでいます。介護施設や病院で患者と直接対話し、社会的な交流や心理的なサポートを提供することで、患者の精神的な健康を支えます。AMRは物理的な業務だけでなく、患者の心のケアにも役立ちます。

③リハビリ用ロボット

リハビリテーション領域における医療用ロボティクスの進化は、患者の回復プロセスを革新しました。特にモジュラーロボット(互いに着脱できる部品を組み合わせて作るロボット)は、患者1人ひとりのニーズに対応するカスタマイズが可能なため、多機能かつ柔軟な治療オプションを提供できます。このロボットは、外骨格、義手、義足などとして利用され、患者の日常生活の質を向上させます。

リハビリ用ロボットは機能障害の治療にも利用されており、脳卒中や麻痺、外傷性脳損傷などの回復をサポートします。これらのロボットの中には、患者が行う運動の正確なフォームをAIと深度カメラを用いて監視し、動きの改善を詳細に追跡する機器もあります。このような高い技術により、治療の進行を客観的かつ精確に評価でき、より効果的なリハビリプログラムの設計が可能になります。

医療用ロボット導入のメリット

手術・治療の精度向上

医療用ロボットの導入がもたらすメリットの1つは、手術や治療の精度の向上です。ロボットを利用した手術は外科医が行う手術の正確性を格段に高め、患者により良い結果をもたらします。これらのロボットは、極めて小さな切開で精密な操作を可能にし、従来では困難だった繊細な神経の周囲での作業を安全に行うことができます。

清潔な環境の保持

清掃・消毒ロボットやAMRなどの医療用ロボットは、病院や研究所内の環境を清潔に保つにあたって必須です。これらのロボットは、床面や人々が触れる可能性の高い表面を自動的に消毒し、衛生状態を高い水準で保ちます。

医療用ロボットの導入によって、院内感染症(HAI)のリスクが著しく低減します。新型コロナウイルス感染症が流行して以来、従来に増して感染症の防止が重要になっているため、衛生状態を厳格に管理できるこれらのロボットは医療施設に欠かせません。

人手不足の解消

医療用ロボットの導入は、人手不足という現代医療が直面する大きな課題に対する有効な解答の一つです。特にAMRは、日々のルーティーン作業を自動化することで医療従事者の負担を軽減し、人的リソースの最適化に寄与します。

またこれらのロボットは、医薬品や医療器具、その他の必要な物資の配送と在庫管理を自動で行うため、病院の運営効率を向上させます。これによって、必要な物資が正確かつタイムリーに補充され、医療サービスの連続性が保たれます。

全国の病院における医療用ロボティクスの応用事例

手術支援ロボット「ダヴィンチ」|東京医科大学病院

ダヴィンチは、アメリカのインテュイティヴ・サージカル社が開発した内視鏡下手術用の手術用ロボットで、東京医科大学病院にて導入されています。名称はレオナルド・ダ・ヴィンチにちなんで付けられました。「ダヴィンチ」手術は、患者の体に小さな穴を開けて行う、傷口が小さい低侵襲の手術です。この術式は出血量を極端に抑え、術後の疼痛を軽減、機能温存の向上や合併症リスクの大幅な回避など、さまざまなメリットがあります。

参考:東京医科大学「手術支援ロボット「ダヴィンチ」徹底解剖」

手術支援ロボット「メイコー」|神戸海星病院

メイコーは、人工股関節全置換術や人工膝関節置換術に利用される手術支援ロボットで、神戸海星病院にて導入されています。このロボットは、患者個別の三次元CTデータを基に作成された術前計画に従い、インプラントの設置を正確に行います。

執刀医はロボティックアームを利用することで、精密な関節バランスの調整が可能です。それによって、患者は手術後に動きやすい関節の機能を得ることが期待できます。

参考:神戸海星病院「Mako 手術支援ロボット『メイコー』」

調剤ロボット「robo-pickⅡ(ロボピックⅡ)」|藤田医科大学病院

robo-pickⅡ(ロボピックⅡ)は、藤田医科大学病院にて導入されている調剤ロボットです。15台のロボットが医師の処方箋に従って薬を自動で取り分け、必要な量の薬を患者1人ひとりのトレーに正確に配置します。

このロボットの導入の結果、病院は患者の待ち時間を平均40分から20分へと半減させることに成功しました。薬剤師は処方の精度を維持しながら、より多くの患者に迅速に対応可能です。

参考:藤田医科大学病院「診療・運営で活躍するロボット」

免荷式リフトPOPO(ポポ)|茅ヶ崎新北陵病院

POPO(ポポ)はリハビリテーションの1つである歩行補助を行う免荷式リフトで、茅ヶ崎新北陵病院にて導入されています。この装置はハーネスを使用して患者の体を支え、下肢への負荷を軽減しながら安全に歩行訓練を行います。痛みやバランス不良により歩行が困難な患者も、早期から効果的なリハビリテーションを始められる点で非常に利便性が高いです。さらに、コンパクトな設計のため、訓練場所を選ばず幅広い環境で使用可能です。

参考:茅ヶ崎新北陵病院「リハビリテーション医療」

ロボットスーツHAL®|東京都立神経病院

ロボットスーツHAL®は、脊髄性筋萎縮症や球脊髄性筋萎縮症など、特定の神経筋疾患を持つ患者の歩行リハビリテーションに利用される外骨格型ロボットで、東京都立神経病院にて導入されています。

このロボットは、着用者が歩行を意図するときに脳から発される信号を、下肢に装着されたセンサーにて検知します。その信号に応じて着用者の筋力を支援し、適切な運動パターンで歩行訓練を行います。このプロセスにより、患者は安全に歩行することが可能となります。

参考:東京都立神経病院「ロボットリハビリ」

医療用ロボティクスの導入と共に導入すべきは、予約システムRESERVA

画像引用元:RESERVA.md公式サイト

医療機関が医療ロボティクスを導入する際には、同時に予約システムを導入することもおすすめです。 予約システムの機能は、来院や面会の予約管理にとどまらず、決済から顧客管理、さらにスタッフやリソースの調整に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、来院者にとってもわかりやすく使いやすい環境が提供されます。

現在多数の予約システムがありますが、医療機関が効率的にDXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAをおすすめします。RESERVAは、28万社が導入、700以上の医療機関も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる病院、クリニックにもおすすめです。

まとめ

本記事では、医療用ロボティクスの詳細や、実際に医療用ロボットを導入している病院について詳しく触れてきました。これらのロボットは、手術・治療の精度向上、清潔な環境の保持、人手不足の解消を可能にします。病院や研究所の運営に課題を抱えている医療機関の関係者は、ぜひ本記事を参考にしてください。

RESERVA.mdでは、今後も医療DXに関する知見や事例を取り上げていきます。

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