リハビリの現場では、患者データの偏在やリハビリ人材の不足が課題となっています。こうした課題を解決するために、DXの活用が注目されています。特に、予約システムの導入は無断キャンセルを防ぎ、患者のニーズに合わせたリハビリスケジュールの管理を可能にします。また、オンライン決済や患者データの一元管理により、業務効率が向上し、リハビリ施設の運営がスムーズに進む点も大きなメリットです。
本記事では、リハビリにDXを導入する利点や成功事例、さらにリハビリ施設の運営に役立つ、予約システムRESERVA(レゼルバ)の機能について解説します。
リハビリにおける現状の課題
属人的なリハビリの提供
リハビリは、患者の身体機能や病状に合わせて個別に調整する必要があるため、属人的な対応になりがちです。特定の専門家の経験や知識に依存することが多く、標準化された対応が難しいため、リハビリサービスの質にばらつきが生じやすいのが現状です。
また、リハビリは多岐にわたる疾患や治療目的を対象とするため、データの標準化が進んでおらず、効率的なデータ管理が十分に行われていないことも課題です。例えば、同じ症状の患者でも、担当者によって指導方法や進捗の管理が異なることがあり、患者にとって一貫性のない治療経験となるリスクがあります。
リハビリ人材の不足
リハビリに従事する職種は多岐にわたり、代表的なものとして理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが挙げられます。厚生労働省の「令和4年版厚生労働白書」の図表によると、理学療法士の数は平成24年から平成28年にかけて約2万人も増加していることがわかります。しかし、病院やクリニックでの理学療法士数は順調に増加している一方、障害者福祉施設や介護サービス施設では、平成24年以降ほぼ横ばいで推移しており、人員の補充が難しい状況が続いていることが明らかです。
リハビリの現場では、特に高齢化社会の進展に伴い、リハビリを必要とする患者が急増しています。そのため、リハビリ専門職の需要は年々増加していますが、専門職の育成には長期間を要し、現場の人手不足は解消されていません。この状況は、施設や病院において一人のリハビリスタッフが多くの患者を担当せざるを得ない原因となり、結果として過剰な負担がかかり、リハビリの質が低下する恐れがあります。さらに、スタッフの疲労やモチベーションの低下にもつながり、長期的な人材確保がますます困難になることが懸念されています。
リハビリでDXを推進する利点
ビッグデータの活用
リハビリの現場では、患者の身体機能や治療の進捗状況、治療方法ごとの効果など膨大なデータが日々蓄積されており、これらのデータを分析することで、個々の患者に最適なリハビリプランを提供することが可能になります。
たとえば、過去の治療データを活用して、特定の症状や疾患に対してどのようなリハビリ方法が最も効果的であったかを分析することで、治療の精度を高めることができます。また、リハビリの進行状況をリアルタイムで監視し、患者ごとの治療効果を予測することで、早期に方針転換が必要な場合も迅速に対応できるようになります。
さらに、ビッグデータを活用することで、施設全体の業務効率も向上します。たとえば、どの時期にどの患者がどのようなリハビリを必要とするかを予測し、リソースを最適に配分することで、過剰な待機時間やスタッフの無駄を削減することが可能です。ビッグデータの活用は、個々の患者のニーズに合わせた治療の提供だけでなく、リハビリ施設全体の効率化を促進する重要な手段となります。
遠隔療法の実現
遠隔療法とは、インターネットを介して患者が自宅でリハビリを行い、その進行状況や健康データを医療従事者が遠隔でモニタリングする仕組みです。このシステムを導入することで、リハビリが必要な患者は病院に通院せずに、効率的かつ継続的に治療を受けられます。
一つの例として、理学療法士や作業療法士が病院でリハビリ機器に動作を教示し、患者は自宅にある同じ機器を用いてトレーニングを行うケースが挙げられます。このシステムでは、患者の生体情報をリアルタイムで病院に送信し、医療従事者がその情報をモニタリングすることで、患者の状態に応じた適切な指導や治療方針の変更が可能となります。また、患者が痛みを感じた場合には、機器が自動的に動作を調整し、負担を軽減する機能も備わっています。
このような遠隔療法の最大のメリットは、患者が自宅にいながらも高品質なリハビリを受けられる点です。特に、身体的な制約や交通の問題で通院が困難な患者にとって、継続的なリハビリが可能になり、治療効果の向上につながります。さらに、医療従事者にとっても効率的に患者の進捗を管理できるため、限られたリソースで多くの患者に対応できます。
リハビリに予約システムを導入するメリット
患者データの一元管理と業務効率化
予約システムを導入することで、患者の予約状況やリハビリの進捗、過去の治療履歴などを一元的に管理できるようになります。これにより、スタッフは効率的に患者データへアクセスし、適切な対応を迅速に行えるようになります。さらに、一元管理されたデータは、スタッフ間での情報共有が容易になるため、チーム全体の業務効率も向上します。例えば、理学療法士や作業療法士は、患者の最新のリハビリ状況を常に把握できるため、無駄な確認作業や情報の重複を避けることが可能です。
また、デジタル化されたデータは分析にも利用しやすく、患者の治療方針の改善やリソースの最適配分にも役立ちます。このように、予約システムを導入することで、リハビリ施設全体の業務効率が向上し、患者へのサービスの質も向上するため、双方にとって大きなメリットが得られます。
無断キャンセルの防止
リハビリ施設において、無断キャンセルは大きな問題となります。患者が予約を入れたにもかかわらず、当日に連絡なしで来院しないことは、施設側にとって時間とリソースの無駄となり、他の患者への対応にも影響を与えかねません。こうした無断キャンセルを防ぐためには、予約システムの導入が非常に効果的です。
予約システムでは、予約時に自動でリマインドメールや通知を送信する機能があります。患者が予約日を忘れずに済むため、予定通りにリハビリを受ける確率が高まります。特に、リハビリは継続的な治療が重要であり、無断キャンセルを防止することで患者の治療の中断を回避でき、より効果的なリハビリが行えます。
また、無断キャンセルが発生した際も、システム上でその履歴が残るため、次回の予約時にキャンセルの多い患者に対して事前の確認を行うことが可能です。施設側は患者の状況に応じた対応を取りやすくなり、さらなるキャンセル防止策を講じることができます。
オンライン決済による混雑緩和
オンライン決済を導入することで、患者は事前にリハビリの費用を支払うことができ、来院時の支払い手続きが不要になります。受付での待ち時間が短縮され、スムーズな患者対応が実現されます。特に、リハビリを必要とする患者の多くは身体的な負担を抱えているため、受付での長時間の待ち時間は大きなストレスとなります。オンライン決済を利用することで、受付での滞在時間を最小限に抑え、患者にとってより快適な環境を提供することができます。
また、施設側にとっても、支払いの処理がオンライン上で完了するため、現金管理や会計処理にかかる手間を大幅に軽減でき、業務効率が向上します。
リハビリにおけるDXの成功事例
MELTz 手指運動リハビリテーションシステム|FrontAct株式会社
FrontAct株式会社は、「生体信号処理技術+生体模倣ロボット技術」を適用した医療機器、「MELTz®手指運動リハビリテーションシステム」(以下MELTz)で運動機能障害の一つである「手指麻痺」回復を目的としたアプローチを行っています。
MELTzは独自のアルゴリズムを搭載したAIにより、前腕の筋肉の電気信号を総合的に分析。患者が行おうとしている手の動きを識別し、ロボットのアシストによって、同じ動作を何度も正確に再現することで、より多くのリハビリテーション機会を提供できます。運動意図に併せた動作補助を行うことによって、運動を司る脳神経系の再学習を目指します。
ADOC|株式会社レキサス
株式会社レキサスは、作業療法で目標とする作業を決める面接の際、クライエントと作業療法士とのコミュニケーションを促進するためのiPadアプリ「ADOC(Aid for Decision-making in Occupation Choice)」(エードック)を開発しました。このアプリは、クライエントが自身の希望や価値観に基づいてリハビリの目標を明確にし、作業療法士との協力を通じて最適な治療計画を立てることを目的としています。
ADOCは、日常生活で行われる作業を描いた95枚のイラストを使用して、クライエントが重要と感じる作業とそうでない作業を振り分けていくことで、クライエントの意思を引き出します。また、クライエントが選んだ作業に加え、作業療法士も必要と考える作業を選定し、双方が協議して最適な目標を決定します。これにより、クライエントの主体性を尊重しつつ、現実的で効果的なリハビリ計画が作成されます。
リハビリに役立つ、RESERVAの機能
リハビリ施設がDXを推進するにあたって、おすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、来院や面会の予約管理にとどまらず、決済から患者情報管理、さらにスタッフやリソースの調整や集患に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、来院者にとってもわかりやすく使いやすい環境が提供されます。
現在多数の予約システムがありますが、医療機関が効率的にDXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAをおすすめします。RESERVAは、30万社が導入、700以上の医療機関も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる病院、クリニックにもおすすめです。
以下では、リハビリに役立つ4つのRESERVAの機能を紹介します。
オンラインカード決済機能
準備時間設定
準備時間設定では、予約と予約の間に準備時間を設定することが可能です。これにより、次の患者が到着する前にリハビリ器具の準備や部屋の片づけ、消毒などを行う時間を確保でき、スムーズなサービス提供が可能になります。準備時間は施設タイプの場合1分単位、サービスタイプの場合は5分単位で細かく設定でき、ニーズに応じた柔軟な対応が可能です。この機能により、スタッフの作業効率が向上し、無理のないスケジュール管理ができるため、サービスの質も大きく向上します。
会員機能
さらに、複数の会員種別を設定できるため、患者のニーズに合わせた柔軟なサービス提供が可能です。たとえば、リハビリの頻度や治療内容に応じて異なる会員プランを用意し、それぞれに応じた予約メニューや料金体系を設定することができます。また、リピーターや長期的な治療が必要な患者には、特典や優先的な予約枠を提供するなど、個別のサービスを充実させることができます。
予約時アンケート機能
患者が予約の際にアンケートに回答することで、リハビリに関する個別の希望や注意点を事前に理解し、きめ細かなサービス提供が可能となります。アンケートはラジオボタン、チェックボックス、数値入力、自由記述など、多様な形式から選択でき、施設のニーズに合わせてカスタマイズ可能です。
また、この機能を活用することで、従来クリニックで当日記入していた問診票や健康状態の調査を予約時に行うことができ、患者は当日長時間待たずにリハビリを開始できます。回答は必須項目に設定することもでき、必要な情報を確実に収集できます。さらに、アンケートの回答はデジタルデータとして管理されるため、スタッフ間での情報共有がかんたんに行えます。紙ベースの管理が不要になり、業務の効率化とサービスの質が向上します。
まとめ
本記事では、リハビリ施設におけるDXの推進による利点や、実際の成功事例、また予約システムRESERVAのおすすめ機能について解説しました。DXの導入により、患者データの一元管理が可能となり、リハビリサービスの質向上や業務効率の改善を目指すことができます。
RESERVA.mdでは、今後も医療DXに関する知見や事例を取り上げていきます。