皮膚科で活躍するDX|(AIと共に進化する皮膚科医療)

デジタル時代の到来とともに、医療現場は急速に変化しています。特に皮膚科領域においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)が診療の質や効率を大きく向上させる鍵です。DXについての理解を深めることで、皮膚科医療における有用な活用につなげられます。

本記事では、皮膚科における現状の課題と、その課題の解決に効果的な医療DXについて、成功事例を基に詳しく解説します。

皮膚科における現状の課題

診断精度のばらつき

皮膚科の診断は、主に目で見て判断することが多く、医師の経験やスキルに依存しがちです。皮膚疾患の中には、見た目が似ていて区別が難しいものや、初期段階では気づきにくい疾患がたくさんあります。たとえば、初期の皮膚がんや、珍しいアレルギー反応などは、経験の少ない医師にとって見逃しやすいです。

このような診断精度のばらつきは、特に専門医の数が限られる地方や医療過疎地域において深刻な問題となっています。また、早期発見が遅れた場合、治療開始の遅延が患者の予後に悪影響を及ぼすことも少なくありません。AIや機械学習を活用した画像解析技術や、専門医間の連携による診断支援システムの普及が進むことで、こうした課題の改善が期待されますが、現時点ではこれらの導入が不十分な医療機関も多いのが現状です。

患者数の増加と医師不足

皮膚科では、アレルギー、アトピー性皮膚炎、日焼け、シミなどの患者数が年々増加しています。特に高齢化社会では、加齢による皮膚トラブルや、がんの一種である皮膚悪性黒色腫(メラノーマ)の患者が増えており、今後も増加が予想されます。一方で、皮膚科医の数も増加傾向にありますが、患者数の増加に対して十分とは言えません。

特に地方や人口の少ない地域では、皮膚科医の不足が深刻で、患者が適切な治療を受けるまでに長い待ち時間が発生することも少なくありません。都市部においても、混雑による予約の取りづらさや長い待ち時間が問題となっており、効率的な診療体制の整備が求められています。遠隔診療やデジタル技術の導入が一部で進んでいるものの、まだ十分に普及していない現状です。

アトピー性皮膚炎の急増

画像引用元: 厚生労働省「 令和2年 患者調査 傷病分類編(傷病別年次推移表) 」

皮膚科の現場において、特に急増しているのがアトピー性皮膚炎の患者数です。厚生労働省「令和2年 患者調査 傷病分類編」によると、2020年時点でアトピー性皮膚炎の推計患者数は53万人を超えており、2014年(平成26年)の42万人と比べて11万人以上の増加が見られます。これは、6年間で約27%の増加を意味しており、皮膚科への受診者数全体の増加にも大きく影響しています。

アトピー性皮膚炎は慢性疾患であり、長期間にわたる治療とケアが必要となるため、今後も患者数の増加が予測されます。これに伴い、皮膚科医療の重要性や、より多くの患者に対応できる医療体制の整備が急務となっています。

課題解決に効果的な医療DXとは

医療DXの定義

厚生労働省によると、医療DXとは「保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤(クラウドなど)を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」と定義されています。

医療DXは、サービスの効率化や質の向上により、以下の5点の実現を目指しています。

  1. 国民の更なる健康増進
  2. 切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供
  3. 医療機関等の業務効率化
  4. システム人材等の有効活用
  5. 医療情報の二次利用の環境整備

これらの実現に向け、日本では「医療DXの推進に関する工程表」にもとづき、①全国医療情報プラットフォームの創設、②電子カルテ情報の標準化等、③診療報酬改定DXを3本の柱とし、取組を進めています。

参考:厚生労働省「医療DXについて」

皮膚科で医療DXを推進するメリット

診断の正確性向上

皮膚疾患は種類が非常に多く、見た目が似ている症状や初期段階では判断が難しいケースも多々あります。従来の診断方法では、医師の経験や知識に依存する部分が大きく、時には微細な違いを見逃してしまうこともありました。しかし、AIを用いた画像解析や機械学習を活用することで、診断精度が大幅に向上します。例えば、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)のような早期発見が重要な疾患に対しても、AIは細かな変化を見逃さず、正確な判断が可能となります。

遠隔診療の促進

医療DXは、皮膚科の遠隔診療を促進する重要な要素となります。皮膚科は他の診療科と異なり、視覚的な診断が中心となるため、患者が自宅からでもスマートフォンやPCを使って、患部の写真を送ることで診察を受けることが可能です。これにより、地方や交通の便が悪い地域に住む患者、あるいは仕事や家事で忙しい患者も手軽に診療を受けることができます。また、遠隔診療の普及は、医師と患者の距離を縮め、緊急性の高い場合や定期的なフォローアップを迅速に行える環境を整えます。時間や場所にとらわれない医療提供が可能になることで、患者にとっての利便性が大幅に向上します。

予防医療の推進

医療DXにより、予防医療も一段と進められます。例えば、AIが定期的に皮膚の状態を監視し、リスクの高い変化が見られた場合に自動的に警告を発するシステムが開発されつつあります。これにより、患者は日常生活の中で自分の皮膚の健康状態をモニタリングでき、早期に医療機関を受診する動機づけが強化されます。また、皮膚科における一般的な問題である日焼けやシミに関しても、予防的なケアが推奨され、定期的な健康チェックが推奨される環境が整います。データを基にした予防的なアプローチは、患者の健康を維持し、重篤な皮膚疾患を未然に防ぐための重要な手段となります。

皮膚科における医療DXの推進事例

医療法人 松田会 八木山内科・皮膚科クリニック

参考:八木山内科・皮膚科クリニック公式サイト

宮城県仙台市にある八木山内科・皮膚科クリニックは、一般内科、糖尿病内科、消化器内科、皮膚科、小児皮膚科に対応し、WEB予約が可能なクリニックです。

予約メニューから診察を希望する医師を選び、その後、受診希望の日時を選択することで、手間をかけずにかんたんに予約が完了します。当クリニックでは、1ヶ月前の0時から予約を開始し、受診希望日前日の23時59分まで予約を受け付けています。予約受付開始日と締切を明示しておくことで、クリニック側は予約管理を効率化でき、患者側も急な受診が必要になった場合に、空き状況を確認して対応できるため、双方にとって大きなメリットがあります。

東北大学病院

参考:東北大学病院プレスリリース

東北大学病院医学系研究科皮膚科学分野ではAIを活用したアトピー性皮膚炎の経過観察システムが開発されています。このシステムでは、患者がスマートフォンで簡単に患部の写真を撮影し、その画像をAIが解析することで病変部を自動的に抽出し、経過をモニタリングします。特にアトピー性皮膚炎に併発する感染症や悪性疾患の早期発見に役立つ深層学習モデルが導入されており、従来の診断方法と比べて正確性が向上しました。このシステムは、撮影条件に左右されず、患者が自分で簡単に皮膚の状態を確認できるため、自己管理型医療の実現に向けた重要な一歩とされています。

信州大学医学部付属病院

参考:信州大学「 皮膚科向け医療機器開発をさらに加速し実現する、AI判定による皮膚がん診断支援 」

信州大学医学部附属病院皮膚科とカシオ計算機株式会社は、医工連携により皮膚科向け医療機器をAI連動に取り組んでいます。共同開発された「ダーモカメラ」と「ダーモスコープ」は、皮膚がんの診断において専門医の診断を補助するAI技術を活用しています。この技術により、皮膚病変の良性・悪性の判定がより正確かつ迅速に行えるようになり、早期発見・治療に貢献しています。これは、患者と医療従事者双方にとって大きな利点となっています。

皮膚科における医療DXにはRESERVA

画像引用元:RESERVA.md公式サイト

医療機関がDXを推進するにあたって、おすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、来院や面会の予約管理にとどまらず、決済から顧客管理、さらにスタッフやリソースの調整に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、来院者にとってもわかりやすく使いやすい環境が提供されます。

現在多数の予約システムがありますが、医療機関が効率的にDXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAをおすすめします。RESERVAは、28万社が導入、700以上の医療機関も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる病院、クリニックにもおすすめです。

まとめ

本記事では、皮膚科における現状の課題と、その課題の解決に効果的な医療DXについて、成功事例を基に詳しく解説しました。医療DXは、あらゆる場面において、効率化や質の向上を促進する有用な取り組みです。

RESERVA.mdでは、今後も医療DXに関する知見や事例を取り上げていきます。

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