医療福祉の連携を支えるDXの力|シームレスなケア提供の実現

高齢化社会の進展や慢性疾患の増加により、患者は複数の医療機関や福祉サービスを利用する必要があります。このような状況では、医療や福祉の提供が途切れず、患者にとって最適なケアが連続して行われるシームレスなケアが求められます。そのため、医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が急務となっています。

この記事では、シームレスなケアの概要とそれを実現するためのツール例を紹介します。

シームレスなケアとは

「シームレス」とは「つなぎ目がない」という意味です。従来では、病状の急性期から回復期へ、回復期から維持期へと治療やリハビリを進めていく際に、転院したりスタッフが変わったりすることで情報の受け渡しが不十分になることがありました。

シームレスなケアとは、医療と福祉のサービスが途切れることなく、患者に対して継続的かつ一貫した支援を提供することを指します。特にリハビリテーションにおいては、患者が異なる医療機関やサービスを利用する際、医師、理学療法士、福祉サービスのスタッフ間での情報の共有や連携が重要になります。患者が入退院を繰り返す場合、異なる医療機関での情報がスムーズに引き継がれなければ、治療の中断や誤解を招く恐れがあります。シームレスなケアを実現することで、患者は自分の状況を理解しやすくなり、より効果的なリハビリが行えるようになります。

シームレスなケアを実現するDXツールの例

医療DXの定義

厚生労働省によると、医療DXとは「保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤(クラウドなど)を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」と定義されています。

医療DXは、サービスの効率化や質の向上により、以下の5点の実現を目指しています。

  1. 国民の更なる健康増進
  2. 切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供
  3. 医療機関等の業務効率化
  4. システム人材等の有効活用
  5. 医療情報の二次利用の環境整備

これらの実現に向け、日本では「医療DXの推進に関する工程表」にもとづき、①全国医療情報プラットフォームの創設、②電子カルテ情報の標準化等、③診療報酬改定DXを3本の柱とし、取組を進めています。

参考:厚生労働省「医療DXについて」

DXツール例①|モフトレ

画像引用元:モフトレ公式サイト

モフトレは、介護現場向けの機能訓練支援サービスです。計画書の自動作成から訓練の実施、LIFE連携、体力測定まで、機能訓練業務を総合的にサポートします。このサービスには約40種類の機能訓練プログラムが収録され、動かしたい身体の部位や生活目標から自由に選択できます。また、計画書システムとの連動により、知識に不安のある施設でも、目標に応じたプログラムを作成できます。導入している施設は主にデイサービスや福祉施設が多いですが、導入により算定の効率化や収益向上につながっています。

参考:モフトレ
導入事例:https://www.moff-training.jp/media/case

DXツール例②|Medical Care Station(メディカルケアステーション)

メディカルケアステーションは、全国の医療介護の現場で利用されている地域包括ケア・多職種連携のためのコミュニケーションツールです。電話やFAXなどでかかっていた手間と時間を短縮し、連絡したいことがあった際に、症状写真や動画、資料とともにすぐに伝えられます。受け取る相手は自分のタイミングで情報を確認することができ、必要に応じて本人やご家族を招待することもできます。患者や家族との連絡ツールとしても利用可能です。

参考:メディカルケアステーション
導入事例:https://post.medicalcare-station.com/?_ga=2.213586004.1173940437.1728025433-1431474162.1728025433

DXツール例③|MeLL+(メルタス)

画像引用元:MeLL+公式サイト

MeLl+は、法人内や地域での医療施設介護・介護事業所間の連携を実現する、医療・介護連携サービスです。多職種スタッフ間での情報共有やコミュニケーションが可能になるため、患者・利用者へのより適切なケアやサービスの提供につながります。これにより、医療・介護・福祉のシームレスな連携で、地域包括ケアシステムの実現を支援します。本ツールによって、事業所の枠を越えた情報共有・コミュニケーションがスムーズになり、多職種のメンバーそれぞれの業務の質向上につながっています。

参考:MeLL+公式サイト
導入事例:https://www.wiseman.co.jp/case/

DXツール例④|Sonic DICOM(ソニックダイコム)

画像引用元:SonicDICOM公式サイト

SonicDICOMは、webブラウザベースの高速ビューアを搭載した、医療画像管理システムです。使用頻度の高い汎用的な機能を中心に搭載し、シンプルでわかりやすいUIにより直観的に誰でもかんたんに操作ができます。また、オンプレミス版はソフトウエア単体での提供のため、施設の規模・撮影量に合わせて合理的なシステムを構築でき、クラウド版を導入すると院内にサーバーが不要となり、初期コスト、メンテナンスコストを大きく抑えた導入が可能です。

参考:SonicDICOM公式サイト
導入事例:https://ja.sonicdicom.com/solution-case/

DXツール例⑤|電子カルテ

電子カルテは、医療現場での情報の一元管理を可能にします。これにより、医療従事者は患者の過去の診療歴や治療計画をすぐに確認でき、適切な判断を下すことができます。また、転院の紹介時も、電子カルテがあれば必要な情報をかんたん共有できるため、患者にとっても安心感が生まれます。さらに、すべての医療従事者が同じ情報にアクセスできるため、治療の整合性が保たれ、ミスや誤解を減少させます。電子カルテではリアルタイムで情報を共有できるため、スムーズな移行が可能です。

EHR(電子健康記録)についてはこちら:EHR(電子健康記録)|DX用語集

課題と今後の展望

DX導入にともなうプライバシー、データセキュリティの課題

DXは医療・福祉の分野に多くの利点をもたらしますが、その進展にはいくつかの重大な課題もともないます。医療情報がデジタル化され、データの管理が効率化される一方で、サイバー攻撃や不正アクセスのリスクが増大します。患者の診療記録や個人情報が外部から不正に取得されると、患者のプライバシーが侵害されるだけでなく、医療機関の信頼性も損なわれる可能性があります。このため、厳格なセキュリティ対策が不可欠です。

具体的な対策としては、暗号化技術の導入やアクセス制限の強化、定期的なセキュリティ監査が考えられます。また、医療従事者に対するセキュリティ教育も重要です。特に、フィッシング詐欺などの手口は巧妙化しているため、従業員がそれに対処できる知識を持つことが求められます。

さらに、患者自身も自身の情報を守るための意識を高める必要があります。個人情報を適切に管理するための教育や情報提供が患者にとっても重要です。これらの課題に真剣に取り組むことで、DXの恩恵を最大限に享受できる環境が整うでしょう。

技術の進化と今後の可能性

技術の進化は医療福祉に新たな可能性を提供しています。特に、人工知能(AI)やビッグデータの活用は、個別の患者に最適なシームレスなケアを提供するための重要な手段とされています。これにより、診療の質が向上し、患者1人ひとりに合ったパーソナライズされた医療が実現する可能性が広がっています。

例えば、AIを用いた診断支援システムは、医療従事者が迅速かつ正確に診断を行うためのサポートを提供します。これにより、誤診のリスクが減少し、患者に対する最適な治療が早期に行われるようになります。また、ビッグデータを活用することで、患者の過去のデータや全国の医療データを解析し、疾病予防や早期発見に役立てることも可能です。

さらに、リモートモニタリングやウェアラブルデバイスの導入が進むことで、患者の健康状態をリアルタイムで把握し、必要なタイミングで適切なケアができるようになります。これにより、患者の入院や通院の必要性が減少し、自宅でのケアが充実するでしょう。

医療DXにはRESERVA

画像引用元:RESERVA.md公式サイト

医療機関がDXを推進するにあたって、おすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、来院や面会の予約管理にとどまらず、決済から顧客管理、さらにスタッフやリソースの調整に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、来院者にとってもわかりやすく使いやすい環境が提供されます。

現在多数の予約システムがありますが、医療機関が効率的にDXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAをおすすめします。RESERVAは、30万社が導入、700以上の医療機関も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、医療機関の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる病院、クリニックにもおすすめです。

まとめ

DXは、シームレスなケアの実現に向けて不可欠な要素であり、患者の情報を一元管理し、医療従事者間の連携を強化することで、より質の高いケアを提供します。これにより、患者は安心して治療を受けることができ、医療現場の効率も向上します。今後、シームレスなケアが普及することで患者1人ひとりに合った最適なサービスが提供され、より健康な生活を送れることが期待されます。

RESERVA.mdでは、今後も医療DXに関する知見や事例を取り上げていきます。

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